不妊原因重要度番付(ランキング)
以前、ブログなどでお話していた、複数の不妊原因が見つかった時にどちらが原因として重大か、のランキングをずっと考えていたのですが、最近少しずつ頭の中が整理されてきて、まとまりましたので、発表してみます。
もちろん、これを裏付ける科学的データというのはなく、これはあくまで私の個人的治療経験から来るもの(この前のエビデンスの話でいうところのNBMに基づく私的見解ですので、御了解ください)で、当院では、こういう順で治療をおすすめしますよ、という目安のひとつです。他院の先生に言っても「そんなの知らない」と言われるだけです(笑)ので、十分御理解のうえ治療方針を考えるお役に立ててください。
西 | 東 | |
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両側卵管閉塞 | 【横綱】 | 高度精子異常(乏精子症、精子無力症など) |
子宮内膜症(腺筋症) | 【大関】 | 高齢(40歳以上) |
(粘膜下)子宮筋腫 | 【関脇】 | 長い不妊期間(原因不明も) |
子宮内膜ポリープ、喫煙、その他 | 【小結】 | 卵巣機能不全(PCO、他のホルモン異常)など |
以上、おおまかにこういったランキングです。位が上の異常があればあるほど絶対的不妊原因になりやすい、ということです。それ以外だと、たまたま調子がいい時には妊娠することもあるかもしれません。横綱を倒さないと(検査で異常がないことを確認するか体外受精ふくめ治療しないと)優勝(妊娠)できない、ということです。
子宮内膜症があっても妊娠される方も、まれにはありますが、それほど重くないと思っていても腹腔鏡でみてみたら案外重症で、治療したらすぐできた、という方も多いのです。
また、不妊期間が5年くらいなどの長期の方で、検査したら異常がないからと言って放置される方がいらっしゃいますが、今までできなかったという事実の方が重大です。一般検査でわからない異常が隠れているだけのことがほとんどです。そうでなければとっくに出来ているはずなのです。
また、漢方などの自然な治療を希望される方も多いですが、普通に考えれば上位の原因が隠れていたら漢方や自然療法単独ではできないですから、検査だけはひととおり済ませてから、そうした治療をされることをおすすめします。
そして、2年くらいそういう方法でだめなら西洋医学に戻ってほしいと思いますし、40歳過ぎた方ではそれだけで大関が立ちはだかっているわけですから(それも千代大海のようなカド番大関ではなく日馬富士のような横綱をうかがおうかという強い大関です)、できるだけのことはどんどん何でもやった方がいいと思います。
相撲がわかりにくい方には、今度別のたとえを考えておきます。