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禁煙治療について

[2009.03.10]

日本では、「若い女性の喫煙率が高い」と随分前から言われています。男性は徐々に喫煙率が下がっているのに、女性は逆に増える傾向にあります。当院では、不妊治療中や妊娠中の女性など、禁煙を是非おすすめしたい方に遭遇する機会が多くありますので、機会を捉えては禁煙の必要性をお話するようにしています。そして、「他院で今まで不妊治療してきた」という方の中にも、タバコのことは一度も言われたことがない、という人が多いのに驚きます(私など診察室に入ってこられたら、匂いですぐスモーカーかどうかわかってしまいますので、気になって仕方なくなります)。意地悪な言い方をすれば、禁煙指導をされていないクリニックは、妊娠しにくくなるタバコをやめさせない結果、治療が長引いてその分儲かる?ということでしょうか(早く妊娠していただいて評判が上がった方がいいような気がしますが)。

さて、タバコのことを指摘された方々の反応はさまざまです。

  • 「やっぱりそうですか」と意志の力だけですぐ止められそうな人。
  • 「止めたいのはやまやまだが、なかなか止められない」と何か手助けが必要そうな方。
  • 「それだけは止められない」とばかりに拒絶、あるいは、聞き流して止めそうにない方(途中で来なくなったり、耳に痛いことを言わないところへ行ったりされます)など・・・・。

妊婦の方について言うと、初産の方は聞く耳を持ってくれますが、経産婦(出産の経験をしている方)の方でタバコを吸いながら上の子を産んだ方は「何言ってるの?」くらいな扱いです。正直申し上げて、禁煙を言う方が嫌になることもあります。

今までたくさんの方の禁煙支援をしてきた中で得た結論は、「自分で変わってもらわなくては続かない。高圧的に言っても全く無意味」ということです。これは結局ダイエットなどにも通じるコーチングという理論(答えはみな自分の中に持っている)が応用できる、ということです。ですので、今までは全く聞く耳を持たなかった人が、今日は「気づき」を得るかもしれないと思い、何か気付いてもらうためのヒントとなる会話をするように心掛けないといけない、ということで、これに関しては私も修行中の身です。

保険で処方が可能なチャンピックスという薬は、ニコチンの脳内にある受容体をブロックして、吸いたいという欲求を弱める薬です。服用すると、最初の1ヵ月くらいの吸えないイライラで今まですぐに挫折してきた、というニコチン依存症(中毒)の人の禁断症状は、かなり緩和します。実際、当院で処方した方の中では、途中で来院されなくなった1名が挫折されたのだと思いますが、それ以外の方はみな禁煙に成功しています。しかし、これは「妊娠したい」と強く望んでいるなどの意志の力があってこその話ですので、あくまで補助的なものと思ってください。やめたくないのにやめさせてくれる魔法の薬という訳ではないのです。

美容的なこともお話しておくと、禁煙の意欲が増すかもしれないので書かせていただきますが、タバコ1本で25mgのビタミンCが失われるそうです。そのため、1日に1箱吸う方は500mg余分にビタミンCを摂らないといけなくなります。500mgというと、サプリメントか薬で摂らないと無理な量ですから、また余分にお金がかかります。喫煙する方にとっては禁煙が一番安上がりな美容法になるのです。そして、その余ったタバコ代でビタミンやプラセンタなどをやってみてはどうでしょうか?

最後に、これは私の心の中の誓いですが、以前、妊娠初期の患者さんで、私がしっかり禁煙指導しなかったために死産となった方がいらっしゃいました(「関係ない」という方もいらっしゃいましたが、私はやはりタバコのせいだと今でも思っています)。この世に生を受けられなかった、その子の死を無駄にしないためにも、私はこれからも細々と禁煙指導を続けて行こうと思っています。

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